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研究ブログ【コラム】#272

こらむ・マグロ所長

金融商品で曖昧な課税対象で大物投資家、企業はどうなるの?

どうも、こんにちは。

 

 

 

マグロ所長です。

 

 

 

さて、最近ですがかなり面白い案件があります。セガサミーホールディングスの里見会長が金融商品の売却を巡って、東京国税局が行った10億円の追徴課税の取り消しを求めた訴訟があります。

 

 

 

その訴訟が取り消しの処分を認めたということで裁判では里見会長が勝利しました。課税処分や裁判を通じ、複雑な金融商品への課税ルールの曖昧さが明らかになりました。ではなぜこのようなケースになったのかを見ていきましょう。

 

 

 

里見会長は保有していた4種類の金融商品を12年に売りました。その際、譲渡損失が発生し、この損失を他の所得と相殺(損益通算)して12年、13年の確定申告を行いました。

 

 

 

これに対し東京国税局は、他の所得と相殺できないとして16年に課税処分をしたわけですね。

 

 

 

実際になぜ損益通算ができないのかということですが、損益通算についての当時の課税ルールは、債券の利子の利率などをもとにした基準が法令で定められていました。

 

 

 

ただ、今回問題となった債券のように条件によって利率が変動するものには、基準適用の線引きが不明確だったんですね。そのため、東京国税局が解釈を独自に行い、ルール違反をしているということで乗り込んできたわけですね。

 

 

 

課税ルール自体が1987年の税制改正で導入されたもので、金融商品を取り巻く環境が大きく変わったという事情あります。

 

 

 

東京国税局側は「(債券の)発行時に基準を満たす可能性があるだけでは足りず、基準を満たすことが確実でなければならない」などと主張したが、東京地裁の清水知恵子裁判長は「特段の事情がない限り、発行条件に照らして基準を満たす場合には(損益通算ができる債券に)該当するというべきだ」などと指摘しています。

 

 

 

富裕層への積極調査を掲げる国税当局にとって、金融商品を巡る課税は重要な分野です。これからは特に働く人もそうですが高齢者層に富裕層が多く、投資も多いですからね。

 

 

 

今回の里見会長側への国税当局の対応について、税務調査に税理士さんは「課税ルールが曖昧だった分野に国税当局が自らの解釈でチャレンジ(課税処分)してきた典型的な案件。同じようなことはいつ起きてもおかしくはない」とも言っています。

 

 

 

金融商品は日々新たな商品が開発されており、課税ルールの対応は国税当局と納税者の双方にとって重要な問題です。

 

 

 

回の訴訟で里見会長の代理人を務めた南繁樹弁護士は「暗号資産やデリバティブ取引の取り扱いなど、現状の金融課税のルールにも一定の課題がある」と話す。「(金融商品などによっては)利益が出れば課税されるのに、損失の場合には利益と相殺できないものもあり、不公平感や曖昧さがある。時代や市場環境に合わせて制度改正を進める必要がある」と指摘しています。

 

 

 

日本でもまだまだ金融は遅れているわけですね。

 

 

 

以上、マグロでした。

 

 

 

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