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研究ブログ【コラム】#357

こらむ・マグロ所長

TSMCのような形で半導体に限らず、受託生産を目指す企業もあります。

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TSMCのような形で半導体に限らず、受託生産を目指す企業もあります。

 

 

 

どうも、こんにちは。

 

 

 

マグロ所長です。

 

 

 

富士フイルムホールディングス(HD)が、医薬品の開発製造受託(CDMO)で累計6000億円を投じて成長しようと頑張っています。半導体産業では「設計」と「製造」の分業が進み、半導体受託生産会社の台湾積体電路製造(TSMC)が台頭しました。

 

 

 

医薬品産業でも同様の分業が一段と進み、CDMOは大きく成長する見通しです。スイスのロンザなどが先行するが、強みの材料生産技術を生かして「医薬のTSMC」の座を富士フィルムは狙っているわけですね。

 

 

 

「富士フイルムの技術力で勝てる。CDMOに懸けよう」。富士フイルムHDの後藤禎一社長は6月末、バイオ医薬品のCDMO事業への投資を900億円積み増すことを決めました。

 

 

 

2011年に同事業に参入して以降、成長領域の要として投資を続けてきたが、アクセルを踏み込む形になります。

 

 

 

CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)とは、医薬品の製造に加え、開発段階で使う治験薬の製造や生産プロセスの開発などを製薬会社から受託します。

 

 

 

査会社リサーチ・アンド・マーケッツによると、CDMO市場は24年に2410億ドル(約27兆円)と20年比で約5割増える見通しで日本勢では富士フイルムのほか、AGCやJSRなど材料技術を得意とする化学・素材メーカーなど異業種を含めた新規参入が相次いでいます。

 

 

 

新薬を生み出すには通常10年前後かかると言われており、失敗のリスクも大きいです。製薬会社は研究室でゼロから薬の種を見つける研究に注力し、臨床試験や量産化など種を育てる領域はCDMOに委託する経済合理性が高まっています。

 

 

 

実際、製薬会社が製造を分離する動きは相次いでいます。スイス製薬大手ノバルティスは8月、遺伝子治療薬の米国生産拠点をAGCに売却し英製薬大手アストラゼネカも20年6月に米工場をAGCに売却しています。

 

 

 

富士フイルムは23年、英国の拠点で純度の高い抗体を効率良く製造する新しい生産方式を導入新たに開発した「連続生産」と呼ばれる手法だ。連続生産は培地などを連続的に投入しながら培養・精製工程を並行して稼働させ、抗体を連続で回収する形です。

 

 

 

培養から精製工程まで連続で稼働させる生産方式は世界初になるということです。

 

 

 

富士フイルムは新たに連続培養向けにコストを抑えた培地を開発しさらにフィルムなど他業種で培った設備設計技術を転用し、連続生産に対応した製造設備も開発し、連続生産システムを立ち上げています。

 

 

 

25年3月期にはCDMO事業の売上高を21年3月期に比べて約2倍の2000億円に引き上げ、その後も年率20%の成長を目指している形です。

 

 

 

TSMCは好不況を繰り返す「シリコンサイクル」に左右されず、長期視点で投資を継続し、世界最大の半導体受託生産会社に成長して半導体トップの時価総額です。

 

 

 

医薬でも半導体と相似形で分業が進むなか、日本勢が「医薬のTSMC」の座をつかむには、継続的な投資と生産技術の向上が求められます。

 

 

 

以上、マグロでした。

 

 

 

 

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