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研究ブログ【コラム】#288

こらむ・マグロ所長

微細化の次は省電力化に、半導体の進化。

微細化の次は省電力化に、半導体の進化。

 

 

 

どうも、こんにちは。

 

 

 

マグロ所長です。

 

 

 

半導体ではシリコンが長く使われてきた基板材料で新素材の開発・導入が進んできています。

 

 

 

電気自動車(EV)では米テスラによる採用を皮切りに、炭化ケイ素(SiC)を基板に用いた半導体の導入が増えています。

 

 

 

SiCや窒化ガリウム(GaN)を用いた化合物半導体に加えて、ダイヤモンドなどの研究開発も進んでいます。回路の微細化に限界が見える中、新素材でさらなる性能向上を目指している感じですね。

 

 

 

スマートフォンやパソコンなどの電子機器はCPU(中央演算処理装置)やメモリーなど様々な半導体を使うが、現在は大半が基板材料にシリコンを用いて製造されています。

 

 

 

1947年に米ベル研究所が半導体トランジスタを発明してしばらくはゲルマニウムが使われたが、60年代以降は入手しやすく、加工も容易なシリコンが主流です。

 

 

 

その絶対的優位が近年、EV向けのパワー半導体で変化が見えます。テスラは主力EV「モデル3」の一部で、モーターの制御などを担うインバーターに量産車として初めてSiC基板を用いた半導体を採用しました。

 

 

 

SiCは炭素化合物の一種で、シリコンに比べ原子と原子の結合が強く、ダイヤモンド、炭化ホウ素に次ぐ世界で3番目に硬い物質とされています。量産に高度な技術を要する半面、いったん結晶になれば特性が安定しているため、半導体の消費電力のロスを半分以下が可能です。

 

 

 

放熱効果も高くインバーターの小型化が可能です。テスラをきっかけに、EVでの採用機運が高まっています。世界でも自動車ショーが開催されていますがEVが中心の発表会です。

 

 

 

仏ルノーは6月、半導体大手のSTマイクロエレクトロニクス(スイス)と2026年以降のSiCやGaN半導体の供給で提携を結んでいます。

 

 

 

トヨタ自動車は20年末に発売した燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の新モデルにデンソー製のSiCを採用しています。

 

 

 

調査会社の仏ヨールはSiCを用いたパワー半導体の市場が26年に20年比6倍超の44億7820万ドル(約4900億円)に拡大すると予測しています。

 

 

 

日本勢ではロームが25年度までにSiCを用いた半導体で世界シェア3割を握る目標を掲げています。同社は10年にSiC製のトランジスタを世界で初めて量産し、実用化を主導しています。

 

 

 

新素材の研究開発が相次ぐ背景には、既存の半導体の性能向上に限界が見えてきたこともあります。これまで半導体の性能が18カ月~2年で2倍になる「ムーアの法則」に基づく回路の微細化が支えてきたが、足元では回路線幅5ナノ(ナノは10億分の1)メートルまで実用化が進んでおり、物理的な限界が近いとの見方があります。

 

 

 

半導体は微細化に代わる性能向上策として一つのパッケージに複数の半導体を集積する技術が注目されています。

 

 

 

半導体のさらなる性能向上へ「シリコンの次」に向けた覇権争いが始まっています。その中で日本勢も回復できるか鍵です。

 

 

 

以上、マグロでした。

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