こらむ 研究ブログ【コラム】#264 こらむ・マグロ所長 世界のファーウェイの締め出しによって世界展開はどうなった? どうも、こんにちは。 マグロ所長です。 西アフリカのセネガルで6月、約7000万ユーロ(約90億円)を投じた大型データセンターが稼働しました。この施設は中国政府からの融資を受けて建設され、通信インフラを中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)によって稼働しています。 米政府はファーウェイの通信機器について、安全保障上の懸念があるとの理由から高速通信規格「5G」の通信網などから排除するよう各国に呼びかけてはや2年程度は過ぎています。 それでもアフリカ、中東など新興国はなおファーウェイの牙城です。値段が安いからこそ発展途上国にとって低価格はありがたいわけなんですね。 スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアなど欧州企業と比べて2~3割は安いとされる低価格などを武器に受注を広げてきました。 足元では5Gなどの通信機器だけでなく、関連するシステムもセットで売り込む手法をとっているそうです。注力しているのがスマートシティとのことです。 中東のドバイでは5Gインフラの構築に参画しつつ、監視カメラや気温などを測るセンサーを組み合わせた「スマート街灯」を提供しています。 ケニアでは4Gの基地局と監視カメラを組み合わせたシステムを納入し、犯罪発生率の低下につながっています。 監視カメラは個人情報を政府に握られる懸念はあるが、犯罪抑止につながるとして需要が大きいようです。ハイクビジョンもあるのでうまいこと中国企業を売れるわけですね。 ファーウェイの攻勢の背景には中国の巨大経済圏構想「一帯一路」もあるでしょう。 ファーウェイは中国政府とは関係なく事業を展開しているとするが、一帯一路の沿線に含まれるアフリカや中東などで進むスマートシティーなどのプロジェクトは、中国政府系の融資が供与され、ファーウェイも参画するケースが多いです。 アフリカなど新興国では対中債務が膨らんでおり、一部で返済に行き詰まるケースも。というのは無償と言いながら貸し付けて取り立ててくるんですね。 5Gでは日本やオーストラリア、英国がすでにファーウェイ製品の排除を決めています。 20年までは好調だった通信機器の販売も、足元ではシェアを少しずつライバルに侵食されています。 19年以降の米政府による規制の影響に加え、スマートフォンや成長が続く5Gで中国市場への依存が加速している面があります。 ファーウェイの成長を支えたのは1997年以降の積極的な国外展開でした。それを考えると成長力の源泉だったグローバル化の勢いを再び取り戻せるかが今後の課題の一つです。 以上、マグロでした。 研究ブログ【コラム】#263 研究ブログ【コラム】#265