SDGs(エスディージーズ Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連サミットで採り上げられた2016年から2030年までの国際目標です。
2030年までに持続可能で、より良い世界の実現を目指します。SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人として取り残さない」ことを誓っているのです。
本記事では、目標1「貧困をなくそう」についての概要や取り組み事例、今後の課題などを解説します。
目標1「貧困をなくそう」は、世界のあらゆる場所、あらゆる形態の貧困をなくすために掲げられた目標です。
「貧困」には2種類あり、人として最低限の生活もままならないことを「絶対的貧困」というのに対し、その国の生活水準よりも下回っていて困窮していることを「相対的貧困」といいます。
以上をふまえると、貧困は貧しい国だけに起こることではないのです。世界のあらゆる貧困をなくすために、各国が人々の生活を守るための仕組みづくりや対策をおこない、2030年までに貧しい人を減らそう。これが目標1「貧困をなくそう」が目指す理想です。
全世界で極度の貧困のなかで暮らす人の数は、1990年の19億人から2015年の8億3600万人へと半分以下に減少しました。(※参照:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所)
しかし現在もなお「極度に貧しい生活(1日1.9ドルで暮らしている状態)」を強いられている人は多く存在するのです。新型コロナウイルス感染症拡大により、この20年で初めて貧困が増加すると予測されています。
開発途上国は経済発展の水準が低く、国全体の収入が低いことが多いです。そのため公共サービスなどの機能が整っていないことで貧困を生み出します。
一方、先進国は経済は成長していますが格差社会となっている国が多く、所得の低い世帯は負のサイクルから抜け出せない傾向にあります。
このような貧困層への人々への支援と、さらなる貧困を生み出さないためにターゲットを決めて対策をすることが重要です。
日本証券業協会では「子どもの貧困問題」の解決に向け、2019年12月からこの社会貢献活動に取り組んでいます。
具体的には「こどもサポート証券ネット」を作り、証券会社が株主として受け取る株主優待品や災害備蓄品などの「物品」を対象として支援を行っています。子供の支援を受けたいNPO法人などが、必要とする物品(食品が欲しい、水が欲しいなど)を登録し、お互いの条件が合えば支援するという仕組みです。
現在は物品のみを対象としていますが、今後支援の拡充を検討しています。場所の提供やボランティアの支援などです。
このように証券業界全体で取り組むことで、今後も支援の幅が大きく広がるでしょう。
UCC上島珈琲株式会社では、エチオピアで森林保全プロジェクトに参加しています。エチオピアでは、国が現金収入を得るために森林伐採をおこなっており、環境破壊が懸念されているのです。
現地にUCCの社員を派遣し、技術指導や物流管理の指導などをおこなっています。森林で収穫できるコーヒーの本当の価値を引き出し、価値のある製品として認知度を上げることが森林保全につながります。
また、定期的に開催される品評会が品質改善にとても有効です。生産者が豆の品質を競ったり、質の高いコーヒーを発掘したりすることが生産者のモチベーション向上にもつながっています。
貧困をなくすために企業ができるのは「社会的責任を果たす」ことです。経済的業績を上げ、環境に配慮し、地域社会と共生していかなければなりません。それが環境と社会の持続可能性を高めることにつながるのです。
また、個人でできるのは寄付やボランティア活動などがあります。無理のない範囲で、助けを必要とする人に手を差し伸べてみてはいかがでしょうか。
いまだに世界の多くの人が、人間の基本的な生活ができない状態にあります。私たちは日本国内だけでなく、世界を見て貧困の問題を解決していく必要があるのです。