こらむ・マグロ所長
ZOOMがコロナの後の食い扶持を探しています。
ビデオ会議システムの米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが18日、コールセンター向けクラウドサービスを手掛ける米ファイブ9を147億ドル(約1兆6000億円)相当で買収すると発表しました。
ファイブ9は、自宅に居ながら電話応答などのコールセンター業務ができるクラウドサービスに強みを持っています。
全世界で2000社を超える企業と協業しています。コールセンターは今では当たり前のAIを駆使してチャットやビデオ会議等、ZOOMの技術を取り入れやすいようにシナジーが見込めるということですね。
代表的な新型コロナ関連銘柄として注目を集めてきたズームは2020年以降、急速に利用者を増やしてきました。
同年4月には1日当たりの利用者数が延べ3億人に達したと公表しました。アメリカの人口の3/4が使用しているという計算ですね。
21年6月には従業員数10人以上の企業の顧客は約49万7000社と、前年同期比で87%増えました。ただ、株価ではかなり急激に上がりはしましたがここから伸びていきそうな雰囲気は有りません。
むしろ現時点で株式は頭打ちになっています。欧米などでワクチンの接種が進み、従業員がオフィスに出勤する割合が高まっています。
主力のビデオ会議の利用が頭打ちになると投資家が懸念していることがあるんでしょう。
競合他社の追い上げもかなりあるようです。マイクロソフトのチームズですね。マイクロソフトはチームズの利用者が1億4500万人に達成しました。
従来は企業向けに絞って提供しましたが個人向けにも無償提供を開始しました。
ZOOMもこういった環境の変化で直近の2~4月期決算は売上高が前年同期比2.9倍の9億5623万ドル(約1050億円)でしたが前の四半期比の伸び率は8%にとどまっています。
ビデオ会議で築いたブランドを用い、クラウドなど周辺事業を拡大するのが新たな成長戦略ということでZOOMのCEOは話していました。
米IT(情報技術)企業の動向に詳しいMS&ADインターリスク総研の土井剛新領域開発部長は「コールセンターはマイクロソフトなどと直接競合せずに済むということを話しています。
ファイブ9の2020年度売上高は4億ドル超と買収額の3%弱にすぎず割高感があるということでした。
ズームはファイブ9の株式1株につき、ズームの普通株式0.5533株を割り当てるようです。
先週末のファイブ9の終値に対し、約13%のプレミアムを付けました。
ファイブ9のローワン・トロロープ最高経営責任者(CEO)はズームの社長に就任するようです。
ZOOMはどうなるでしょうか。見ものです。株価に変化は与えられるのでしょうか。
以上、マグロでした。