研究ブログ【コラム】#232
こらむ・マグロ所長
日経新聞でのアイリスオーヤマさん 人事戦略
どうも、こんにちは。
マグロ所長です。
今回日経新聞の記事にあった、アイリスオーヤマの記事を取り上げたいと思います。
いい人事だと思ったからこそ、たくさんの人に知ってもらえたらと思います。
アイリスオーヤマ(仙台市)は新型コロナウイルスが流行する状況でも事業を拡大し、グループ売上高は1兆円を視野に入れています。
商品数は2万5000点を超え、家電から猫用トイレまで消費者を「なるほど」と納得させる機能を備えた製品を開発し続けています。長期連載企画「アイリスオーヤマ解剖」では強さの秘密がどこにあり、弱点は何なのか探っていきますが人事が素晴らしい取り組みです。
アイリスオーヤマの役員は2月に出張などの予定をほとんど入れることができません。
2週間にわたって大勢の部下が書いた「論文」と向き合わなければならないからです。
大山健太郎会長は「業績や実績だけで社員を評価してはいけない。そこには幸運や不運の要素もあり、個人の力を正確に示すものではない」と社内で伝えています。
そんな大山会長が編み出した評価手法が「実績とプレゼンテーション、360度評価の合算」です。
同社には約3500人の正社員が在籍し、2割にあたる約700人を幹部社員と位置づけています。
内訳は主任と係長を合わせて約450人、課長と部長の合計でほぼ250人です。
彼らは毎年1回、経営陣が設定した様々な課題に沿ってA4サイズ2枚の論文を書かなければならないです。
論文は昇進の速度も左右する。主任から係長を選ぶ場合ならば主任全員が複数グループに分かれ、役員や同僚の前で論文に沿って15分間プレゼンする。評価者は役員だけではない。「聴衆」の同僚たちも点数を付ける。この点数に過去の実績などを加え、昇進者が決まる。プレゼンせずに役職が上がることはない。
一般的な企業は経営陣や直属の上司が社員の昇進を判断することが多いが、アイリスでは選別される社員も過程に参加しています。「選ばれなかった社員も優秀な同僚のプレゼンを見て、自身も評価に加わっている。だから納得しやすい」と会田氏は話しています。
透明性を確保する工夫は他にもあります。実績や論文と並んで昇進にかかわる「360度評価」では、1人の社員を15人から20人が一斉に判定。評価者は上司や部下、関連部署の社員などが務めます。
項目は①目標達成②マネジメント③部下育成④チームワーク⑤知識――などで、それぞれ6段階で判定。全員が同じ重さの1票を持ちます。上司だけ、部下だけの評価が高くても好成績は望めません。
そして評価結果が出れば一般的な会社では「S」や「AAA」などの表現で知らせますが、アイリスは違います。主任や係長など同列の役職全員の中で何位だったか個別に知らせます。社内で順位を公表するわけではないが、各自が「昨年は65位だったが今年は31位だ」など、自身の立ち位置を常に意識することになるわけです。
成績が下から数えて10%に入った幹部社員には内密に「イエローカード」を出し、指導役の社員を付けて1対1で改善を促します。2年連続でイエローカードを受ければ課長から係長など、降格となります。
大山会長は自社を「3車線の道路」に例えます。能力ある人材は追い越し車線を最速で走り、実力が伴わなければ登坂車線を進む。30歳で課長になった人もいれば、50歳で幹部に入っていない事例もある。しかし降格が絶対的な失敗ではない。「追い越し車線と普通車線を交互に走ることもできるし、プロ野球の選手も一軍と二軍を行き来する」。こんな言葉で奮起を促しています。
ポイントはチャンスが再度与えられることですね。復活の可能性も残されるので永遠と下のままではないという希望もありますし、良い仕組みですよね。
なかなかこういったことは年功序列制度の日本では少ないと思います。
それだけに今回取り上げました。
以上、マグロでした。