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研究ブログ【コラム】#210

こらむ・マグロ所長

意外な場面で利用されている「アンモニア」について

どうも、こんにちは。

 

 

 

マグロ所長です。

 

 

 

アンモニアという名前を聞いたことがない人は、おそらくいないでしょう。大半の方は中学生の理科でアンモニアという物質について勉強しているはずです。ただ、社会人になって直接アンモニアという物質を扱うことが無いため、アンモニアに関する詳細を忘れてしまっている方は多こといでしょう。

 

 

 

ここでは、アンモニアという物質についてご紹介します。

 

 

 

1.アンモニアとは何か

アンモニアとは分子式NH3と表記される無機化合物で、常温常圧のもとでは無色透明であり、刺激臭のある気体です。気体を圧縮すると、比較的簡単に液体となる特徴を持ちます。アルカリ性であり、水に良く溶けます。

 

また、人体の粘膜を強く刺激するため危険な物質として扱われています。例えば、濃度0.1%程度のアンモニアガスを吸引するだけで、危険な症状を発症します。

そのため、悪臭防止法に基づいて、特定悪臭物質の一つに指定されています。

さらに、アンモニアを圧縮してできた液化アンモニアが、目に入った場合には失明する可能性すらあります。

 

このような観点から、アンモニアの運用(特に圧縮された液化アンモニア)には大変注意が必要です。

 

2.アンモニアを生成する方法

アンモニアの一般的な生成方法は、塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて、加熱することで生成することができます。

 

この時に使用される方法に、上方置換法と呼ばれるものがあります。これはアンモニアガスが空気よりも密度が低いことを利用した方法です。中学生の理科の実験でも取り扱われているので、記憶に残っている方もおられるかと思います。

 

 

3.アンモニアの利用

アンモニアは理科の実験で登場するだけにとどまらず、実際に私たちの生活にも利用されています。

 

例えば、農業に欠かすことのできない土の肥料になったりします。アンモニアを様々な方法で化学反応を起し、窒素化合物を生成することができのるのですが、その中でも硫酸アンモニウムが土壌の肥料として利用されます。

肥料には三要素というものがあります。その要素とは、窒素、リン酸、カリウムです。

アンモニアはこの中の窒素系肥料を生成する原料として利用されることが多いです。

 

アンモニアと呼ばれる状態では危険性があるのに、そこから様々な化学反応を起こして生成された窒素系化合物になると、人間にとって害ではなく、植物の肥料となるところが、化学の面白さを感じさせます。

 

これは塩化ナトリウムと似ています。塩化ナトリウムは塩素とナトリウムの化合物です。

塩化ナトリウムを分解した場合に発生する塩素は人間にとって有毒ですが、それがナトリウムと化合し、塩化ナトリウムとなった場合、塩として使われ、私たちの食卓に欠かせない調味料となるのです。化学って面白いですね。

 

また、アンモニアには油汚れを落とす作用もあります。例えば、水にアンモニア(人体に悪影響を与えない程度に薄めたアンモニア)を溶かして、それをガスレンジやオーブンのの中の油汚れに吹きかけて時間をおきます。その後、油汚れをキッチンペーパーやタオルで拭き取ると、こびり付いた油汚れを比較的簡単に掃除することができます。

 

アンモニアは揮発性が高いので、広範囲を纏めていっぺんに掃除する方法には向いていません。ポイントに絞って的確に使い分ける必要があります。

 

 

4.アンモニアを燃料とした発電の試み

今地球の温暖化が止まりません。それは温暖化ガスであるCO2の量が大気中に増えているからです。CO2が増えている原因に、石炭燃料による火力発電があげられます。

 

火力発電とは、石炭などの化石燃料を燃やすことで熱を発生させ、その熱により水を蒸発させます。その蒸発で発生したスチームをタービンと呼ばれる羽根車に吹きかけることで、発電機の軸を回転させて、電気を発生させる方法です。発電機とは大きなモーターのようなもので、モーターは電気を利用して軸を回転させるのに対して、発電機は軸の回転によって電気を発生させることできます。

 

この発電方法はかなり昔から利用されており、今でも利用されている発電方法です。日本では、東日本大震災で、一部原子力による発電が困難になったことを受け、その補助として化石燃料による火力発電を利用せざるを得ない状態になっています。

 

世界では、原油や石炭を利用した火力発電ではなく、原油や石炭以外を燃焼させる火力発電の研究が進んでいます。

 

例えば、水素の燃焼を利用したものが考えられています。水素は燃焼させても水しか発生しません。CO2のような温暖化ガスが発生することはなく、地球温暖化を防ぐためのトリガーとなると考えている方もいます。

 

そして、水素以外の燃料として考えられているのが、アンモニアです。NH3という分子式からも分かるように、窒素化合物であるアンモニアは燃焼させてもCO2は発生しません。

 

昨今叫ばれている「持続可能な社会」を築くためには、基本的なインフラである発電もクリーンなものにしていかなくてはならないことは明白であり、その持続可能な社会を支えるために「アンモニア」という物質が、今後利用されていく可能性は十分にあります。

 

5.まとめ

この記事を読むことで、アンモニアという物質とその利用可能性を理解していただけましたでしょうか。

 

アンモニアというと、悪臭や小便など、あまり良いイメージが無いかもしれませんが、実は日常の生活で大変役に立っており、将来のエネルギーシステムにも影響を与える可能性があることが分かっていただければ幸いです。

 

 

 

 

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