こらむ・マグロ所長
銅相場・資源相場の上昇とそれに伴う製造業の仕入原価上昇、今後の立ち回りや製品価格転嫁について、経済の行き先、スーパーサイクルから脱線している可能性など、どうなるかの仮定予測やパターン VOL1
今週のニュースでは銅が歴史的な値段をつけたということでHOTな話題になっています。
銅はブルームバーグの記事ではかなり強気相場であることを強調しています。投資家からの資金流入は止まらないということです。
特に世界的な環境対策や再生可能エネルギー、電気自動車関連インフラへの投資ということで支出が急増し、長期的にはポジションはまだまだ強いと見ています。
銅相場は過去1年ですでに2倍に値上がりし、日本では5/10現在で1トンあたりの値段が118万円と4/26から10万円も引き上げられています。
このように単価が上がっていくことは素材、銅そのものを扱う業者にとっては単価が上がるので美味しい話です。
しかしながら、銅を使って製品を製造するメーカーなどにはかなりのコストがかかる計算ですよね。コストが急増するわけです。
メーカーそれぞれ手法があるとは思いますが現時点での急激な銅製品の値上下で対応するところもあれば、すでに在庫で抱えていたもので対応するなど各社によって異なるということです。
その中で今後の立ち回りですがここまで単価が上がっているから下がるだろうという期待はしないほうが良さそうです。
需給として銅を必要とする機会が先にお伝えしたように電気自動車のインフラで多くを必要とします。
そのため、単価が下がるという可能性は低いと見ています。追加の理由としても銅の生産である、チリでは銅鉱山でストライキが起きているため、難しいと見ています。
統計によれば21年度伸銅品生産量は20年度と比較しても1割強増える見込みですが世界的に必要としているので銅を使って製品を製造するメーカーがかなり負担を強いられる傾向になるかと思いますね。
こういった相場の流れはスーパーサイクルといい、2000年代になって新興国経済が急成長する過程で資源が供給不足となり、資源の相場が急騰し、10年以上続くサイクルとして取り上げられました。
しかしながらスーパーサイクルという一言で片付けれるものではないと考えられます。
今回は新興国の急成長ではありませんが、脱炭素というキーワードとエネルギー転換が主な理由になります。
新興国だけでなく、世界が同じ方向で動き出しました。ともなればみんなが同じものを必要とすれば限りある資源であれば想像がつくと思います。
供給不足となり、単価は上がる。それは脱炭素ということで長期のトレンドである以上、今回の銅も長期で必要になるわけですね。
そして、脱炭素として世界が動き出したきっかけはパリ協定です。パリ協定は2015年にフランスのパリで採択された気候変動抑制に関する多国間の協定です。
このパリ協定はスーパーサイクルというものでは収まらないと考えられます。そもそもスーパーサイクルでは周期は10年程度ですがこのパリ協定では将来に対して二酸化炭素などの地球温暖化対策として減らしていく仕組みです。
日本で言えば2045年までにこうしたいということでだいぶ先になります。世界を見ても似たようなものです。
中国で言えば2030年にはすべて電気自動車に替えるという目標があります。アメリカも同様に2045年を想定しています。
つまり今の銅の上昇はスーパーサイクルという一言では片付けられないということです。